サラリーマンとして生きて行く中、転勤や転職で住まいが変更になり、折角購入した自宅に住めなくなる場合が時にはあると思います。そんな時、戸建てを売却するパターンと賃貸として貸し出すパターンがありますが、本記事では、実体験を元に、戸建てを貸し出す時の手順と、注意点を記載していこうと思います。特に税金と修繕費に関して簡単に説明し、おおよそどの位の見積もりになるのかの概略が計算できるように、記事の中で説明していきたいと思います。
ちなみに私は税理士ではありませんので、正確に見積もりをしたい場合は税理士の無料相談等で聞かれるのが良いかと思いますが、相談窓口がなかなか空いていなかったりタイミングが合わない場合もありますし、修繕費や賃貸料は税理士では分からなく、不動産屋へ問い合わせる必要がある為、私も転職で急いで見積もりをしたい時にこんなサイトがあったらいいな。と思い、形にしました。
同じような悩みを持っている方の参考になればと思います。
その他、転職に関する内容は下記の記事もありますので、参照頂けると嬉しいです。
参考:40歳以上でも合格可能!物作り系の外資系企業に転職する為に必要な5つの手順
参考:ビズリーチの活用とリクルートエージェントとの比較。年収を上げる方法と、オファーの実例紹介
手順1:賃貸を扱っている不動産屋へ連絡。ポイント2点
初めての方は、いきなりこの壁に当たると思います。どこに連絡すれば賃貸の話が出来るのかが分からないという所から始まります。
私は自宅近くに「HOUSE DO」がありましたので、そこに連絡し、紹介を受けました。
家の近くにそういった不動産屋が無いという場合は、「戸建て貸出 見積もり」等でググると一括査定出来るページがいくつか見つかりますので、そこに必要情報を入れれば、各不動産屋から連絡が来ます。その中で、親身に相談に乗ってくれる所をまずは選定し、その中で次の2つのポイントで決めるのが良いかと思います。
- 毎月の手数料が低い業者を選定
- 賃貸に関しては戸建ての賃貸料は自分で決め、その賃貸料の数%を不動産屋へ支払うという仕組みの為、その手数料が少ない会社を選ぶ。
- 修繕やクリーニング等も一括して対応してくれる業者が楽(次の項目のフローを一通り1つの業者で実施できる所)
- 賃貸する時は、家をクリーニングしなければいけませんし、壊れた設備(後述)は大家である自分で直さないといけません。(私は知りませんでした。)もし引っ越し先が自宅から近ければ、自分で修理業者へ連絡し安い所を探す事も可能ですが、多くの場合は遠く離れた場所に引っ越して住んでいる場合が多い為、修理やクリーニングも中間業者である不動産屋へ丸投げしたいところです。多分費用は高くなりますが、手間暇を考えると、そちらの方がよいかなと個人的には思います。(この辺りは人によりますので、とにかく安く修繕したい場合は、この項目は無視してください。)
手順2:貸出の全体フローの把握
一戸建ての貸し出しする為の簡単なフローは下の通りです。下記のフローを一括して実施してもらえる業者がいいですね。
■戸建て貸出のフロー
- 引っ越しで荷物をすべて移動させる。
- 家の中の写真撮影(引っ越す前でも良いが余り生活感がでていない状態のが良い)
- 敷金、礼金、賃貸料、各種条件(設備)を決める。不動産屋と相談ですが、基本自分で決めれます。
- 不動産屋経由で、「2」で撮影した写真を使ってSuumo等へ掲載してもらう。
- 申し込みがあった後に、詳細条件(例えば、ペット相談や、庭の植木の処置等)の会話をして、賃貸OK,NGの判断をする。
- 家のクリーニングを実施(先にしていてもOK)
- 貸出開始。毎月賃貸料を得る。また、設備として契約している物が壊れたら、大家が修理する。
この中で、注意点としては設備と庭です。
■設備設定
設備として設定する項目は家の魅力を上げる1つの手段ですが、注意点として、設備として記載した物は、その設備込みで賃貸料を取るという意味になりますので、その設備が破損した場合は大家が修理する必要が出てきます。
例えば、エアコンや、食器洗浄機、太陽光発電、浴室乾燥機等、あればそれだけ魅力は上がりますが、それらの設備込みでの賃貸料となりますので、これらが破損した場合は大家さんである自分が直す事になります。
よって設備を増やせば増やすほど、賃貸料は上げても借りてくれる人が出てくる可能性が増えますが、壊れるたびに修繕費を払う必要がある為、設備設定には注意が必要です。
そこで、壊れても直したくない。余分な費用は極力抑えたい。という場合には、設備とは別に「残器物」というくくりにします。
■残器物設定
残器物とは、物は置いてあるけど、大家さんが置いていっただけ。という物の扱いになります。つまり使ってもいいけど、壊れたも保証しないもの。という定義です。例えば、エアコンがすでに10年以上経っていていつ壊れてもおかしくないといった場合、残器物にしておけば、壊れても大家は修理しなくても良い。という事になります。
ただし、生活必需品は残器物にする事は基本的にNGですので、例えば、風呂、トイレ、キッチンに関するものは、設備設定する必要があります。
逆の立場(借りる側の立場)で考えたらそうですよね。
■庭に関する契約
ここが最も揉める項目の1つですので、私のお勧めとしては、木を植えている場合はすべて伐採した後に貸し出すという方向にした方が良いと思います。もし庭木を残す場合は、パターンとしては、下記の1,2がありますが、
- 大家がメンテする
- 住んでいる人がメンテする
すでに引っ越し済で近くに住んでいない場合、1は手間が大きい。2は「メンテ」の定義があいまいな為、ここで揉めます。例えば、木の高さは何cmまで、幅は何cmまで、枝の本数は何本までといったように、綿密に定義し合意できれば良いですが、多くの場合はそこまで定義せずに、賃貸期間が終わったら、木が生い茂っていたという事が多々ありますので、基本こういったもめ事を起こさない為に、木はすべて伐採した状態で、貸し出すのが良いと思います。
手順3:年間費用の見積もり
ここでは、年間の見積もりをザクっと計算します。この見積もりは細かく出そうとしたら、税理士や、不動産屋と綿密に打ち合わせをした後でないと決められませんが、この記事のターゲットとして、概略を見積もるという意味で、細かい部分は端折り、大物だけに着目したいと思います。
■入ってくるお金
- 毎月の家賃収入
- 礼金(設定した場合)
- 管理費(設定した場合)
■出て行くお金
- 税金
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税 等
- 修繕費
- 入居時のクリーニング費用
- 契約金(業者によるが、契約時に1か月分の家賃くらいは取られる)
- 業者手数料(毎月の家賃から天引きされる)
■所得税の考え方
サラリーマン大家としてやっていく為には、所得税を理解していないと、思ったより収入が入らないという事になりますので、ここは注意が必要です。不動産の所得は次のように示されます。
不動産所得 = 不動産に関わる総収入 ー 経費
総収入と言っているのは、上に示した入ってくるお金すべて。
経費と言っているのは、運用上に使うお金。つまり、出て行くお金で示した、「固定資産税」「修繕費」「クリーニング費用」等が含まれます、その他火災保険や、減価償却費等もありますが、火災保険や減価償却、その他細かい内容は、ここでは割愛します。
その中で、問題の所得税の考え方は下記
所得税 = サラリーマンとしての本業の手取り + 不動産所得 の累計に税率がかかる
御存知の通り、サラリーマンの場合、年間20万以上の本業以上の所得を得る場合は確定申告し税金を納める必要があります。不動産収入を得る場合は多くの場合20万以上に該当し、確定申告する必要がありますが、不動産所得の場合、その税率は上記の考え方となり、不動産所得に対して税率がかかるのではなく、本業のサラリーマンの手取り+不動産所得の合算値にかかりますので、注意が必要です、年収に応じた、税率は次の通りです。税金エグイですね。
特に注意は今手取りが800万前後であり、家賃収入を得ようとしている方で、合算金額が丁度900万を超えてしまいそうな方です。その方は税率が23%⇒33%に家賃収入を得る事で増えてしまう事もあります。
仮に手取り800万のサラリーマンが家賃収入で120万仮に得ると、合計所得は920万となる為、下の33%の税率の所になります。
本業の手取り+家賃所得の合計 | 税率 |
195万以下 | 5% |
195万ー330万以下 | 10% |
330万ー695万以下 | 20% |
695万ー900万以下 | 23% |
900万ー1800万以下 | 33% |
1800万-4000万以下 | 40% |
4000万以上 | 45% |
■住民税の考え方
これは所得に関係なく10%です。
■税金の控除の考え方
個人事業主として申請できる方法は「青色申告」「白色申告」があり、青色の場合は65万分の控除、白色の場合は10万の控除を得られるのですが、サラリーマンの戸建て賃貸の場合は10万分の控除しか受けられませんのでご注意ください。
貸付を行っている不動産が少ないと事業的規模と認められる65万円の控除を受けることができません。事業的規模と認められる基準は「5棟10室」基準と言われています。
■収入シミュレーション
これまでの結果より、具体的にシミュレーションしてみたいと思います。
■条件を次のように仮置き
家賃収入/月 | 10万 | |
業者手数料/月 | 家賃の5% | |
固定資産税金 | 10万 | 物件により異なる為仮置き |
修繕費 | 家賃収入の20%を考慮 | 条件: トイレ、キッチン、お風呂等の必要最低限の物を設備として置いた場合、平均して、 家賃の約20%と、ある不動産屋の実績から仮置き。 |
初回クリーニング費用 | 60万 | 物件により異なる為仮置き) |
白色申請による控除 | 10万 |
■入ってくるお金
家賃収入 | 120万 | 10万x12カ月 |
礼金(設定した場合) | 10万 | 家賃1か月分(自分で設定可能) |
管理費 | 0 | 0 |
■出て行くお金
所得税 | 後に計算 | – |
住民税 | 後に計算 | – |
固定資産税 | 10万(物件による) | – |
修繕費 | 24万 | 年間家賃の20%と想定(ある業者の実績ベース) |
入居時のクリーニング費用 | 60万 | 業者曰くざっくりこのくらい |
契約金 | 10万 | 賃貸契約完了時に1か月分の家賃を契約料とする(業者による) |
業者手数料 | 6万 | 年間家賃120万の5% |
それでは計算していきます。下記の数字を各それぞれ自分の例に当てはめて入れていただければ、年間の不動産所得が計算できるようになっております。
初年度の所得:15.7万/年(下記の計算参照)
所得=家賃収入120万+礼金10万-固定資産税10万-修繕費24万-クリーニング費60万-契約金10万-手数料6万=20万
所得税=所得20万 -白色申請による控除10万 x 33%(仮の総所得が900万を超えた場合) =3.3万
住民税= 所得20万 -白色申請による控除10万 x 10% = 1.0万
残=所得20万ー所得税3.3万ー住民税1万 = 15.7万
2年目以降の所得:49.9万/年(下記の計算参照)
所得=家賃収入120万-固定資産税10万-修繕費24万-手数料6万=80万
所得税=所得80万-白色申請による控除10万 x 33%(仮の総所得が900万を超えた場合) =23.1万
住民税= 所得80万 -白色申請による控除10万 x 10% = 7.0万
残=所得80万ー所得税23.1万ー住民税7万 = 49.9万
■結論
結論として、家賃が10万で家賃収入総額が120万だとしても、手取りとしては50万位(半分以下)になってしまう。という事です。
いかがでしたでしょうか。私はこの税率を見て愕然としました。もし私と同様、持ち家があり、引っ越しを伴う移動により持ち家を賃貸として貸し出そう(将来戻ってくる可能性がある為売却できない)という方の参考になればと思い、調べた内容をまとめて記載しました。
ただ、冒頭でも記載しましたように、それぞれの条件で数字が変わってきますので、あくまでこの記事は参考として取り扱っていただき、詳細は税理士へ問い合わせして頂くのが良いと思います。
税金関係で、年末調整の記事作っておりますので、もしよろしければご覧いただけると嬉しいです。
参考:フリーランスの妻を持つサラリーマンが年末調整で注意すべき内容2点
引っ越し全般記事は下記にまとめております。
参考:転職内定から引っ越しまでの「やることリスト」と注意点、不用品売買の方法
記事が気に入って頂けたら、クリックして頂けると嬉しいです。
コメント