本記事では、イーロンマスクとはどんな人物なのか、また、テスラとはどんな会社でどんな事業戦略を持った会社なのか、その驚くべき戦略を、簡単に説明していきたいと思います。
イーロンマスクのユニークな生い立ち
まずはイーロンマスクの生い立ちを説明していきたいと思います。ほんのダイジェストですが、普通の人生とは少し異なった人生を歩み、今に至るという事が分かると思います。
- 1971年アフリカ育ち
- 極度のいじめを受け、父親からも抑圧されるような幼少期を過ごす。
- 10歳でブリタニカ事典を読破
- 12歳でプログラムを学び事業化
- 大学時代は、蓄電池と太陽エネルギーを研究
- スタンフォード大学院を中退
- プログラム、物理、ビジネスを習得
- インターネット起業家として活躍、1995~2002年でPayPal企業 → 売却 → 大金獲得
- 2001年マラリアで臨死体験をし、半年間生死をさまよう。
- 覚醒!
このマラリアの体験で生死をさまよい、その後自分に残された時間と覚悟が決まり、自分は何をする為に生まれて来たのかを考えるようになる。
結果
「人類を滅亡から救う事」
これを自分のミッションにし、2002年、「テスラ」と「スペースX」を立ち上げる。
元々天才だったという人物は多くいると思いますが、自分のミッションを人類を滅亡させない事と定義し、かつそれを有言実行していく。この行動を起こす所が、凡人には難しいですが、この後で説明させて頂くように、何個もの事業を起こし次々に新しい事をしていきます。そしてそれらは実はすべて繋がっているんですね。
それを説明していきたいと思います。
テスラの驚愕の3つの将来事業戦略
テスラの事業戦略を説明する前に、イーロンマスクが掲げている「人類を滅亡から救う」事に対する取り組みをまとめていきたいと思います。人類の滅亡とは彼は次の2つのリスクが元に訪れると考えています。
- 既存リスク
- 化石燃料の枯渇(石油がなくなると困るよね。という事)
- 環境問題(温暖化等で地球に住めなくなる)
- 将来リスク
- 核戦争、生物兵器による戦争の始まるリスク
- ハッキングによるネットワークの情報セキュリティリスク(映画のように国の主幹コンピュータのハッキング)
- AIが暴走するリスク(ターミネータの世界)
これらを阻止する為にイーロンマスクはすでに次の事業に取り組んでいます。すごいですね。
- テスラ
- エネルギー開発、EV開発:燃料、環境問題への対策
- ソーラーシティ
- 太陽光システム開発:燃料環境問題への対策
- ハイパーループ
- エアチューブ開発:地下パイプの中を高速に車両を運搬するシステム、車に乗ったまま高速にエアチューブで移動。燃料、環境問題への対策
- ニューラリンク
- AI開発:AI暴走、ハッキングリスクへの対策
- スペースX
- ロケット開発:火星移住、宇宙インターネット、戦争、環境問題への対策
この中で、今回はテスラにフォーカスしますが、テスラが現在行っている事業は車だけではありません。これまで説明したようにテスラ(イーロンマスク)から見た車とは「人類の滅亡を防ぐ」という大義から始まった事業の1つである「テスラ」という会社の、「化石燃料の枯渇リスク」と「環境リスク」に対する対策として始めた、エネルギー事業の中の蓄電地システム技術の応用として作られ、かつ「AIの暴走リスク」に対する対策として開発を始めたAIと組み合わせた、モビリティ事業の中の1つの製品に過ぎないのです。
テスラの現在の事業は次の2点です。ここが日本の車メーカと全く違う部分であり、トヨタ、日産、ホンダといった車メーカと比較する事自体が間違っているかもしれません。目指しているゴールが日本の車メーカとは全く違います。
日本の車メーカはあくまで車が主役、その主役の車を使って、自動運転の時代に向けて、モビリティ事業へ変革する。というのが基本的な考えです。
テスラは人類を滅亡から救うための技術を開発し、それを応用すると、今の時代の断面では車という物にその技術を適用する事が最適である。と考えた結果であり、車を作る事、売る事が目標ではありません。
なので、車自体の質(車両のボディの設計等、メカの設計部分の質)が悪かったりするのは、そこに注力していないからなのだと思います。
テスラの事業
- 電力システム
- 太陽光システム、蓄電池システム
- モビリティ
- スーパーチャージャ、EV
それが今後どうなっていくかというと、見えている中では、
- ネットワーク
- これまで作ってきた車を使ったモビリティ事業、例えばロボットタクシーが分かりやすいですね。これらを進めていくには無人で動く車はもちろん、それをコントロールする司令塔であるネットワーク環境が必要です。その為、モビリティ事業を支える強固なセーフティネットワークのビジネスに力を入れようとしています。またロボットタクシーには脳みそが必要であり、その為にAIを自社開発しています。
どうでしょうか、テスラという車が注目されていますが、注目すべきは車というイーロンマスクが目的を達成する為の1つの手段ではなく、「人類の滅亡を防ぐ」為にテスラという会社で、エネルギー、モビリティ、ネットワークを強化しようとしているのです。カッコいい車を作りたい、ではなく、化石燃料の枯渇、環境問題という既知のリスクと、ハッキング、AIによる将来発生しうるリスクの為にこういった事業を進めているという事です。
テスラ車が装備している8つの超便利機能
先程までのトピックで、イーロンマスクとテスラがどんな人物でどんな会社なのかを説明してきました。とはいっても、一体テスラとはどんな車なのか?という事が知りたい方も多いと思います。ここではテスラがどんな車を出しているのか、簡単に説明をしていきたいと思います。
リリースされているモデルはいくつかありますが、基本的にはセダンタイプで正直見た目は同じような形をしています。このトピックでは、車両の紹介ではなく、ビジネスモデルと、自動運転に対する特徴的な機能に対し説明をしていきたいと思います。
ビジネスモデルとしては、車両の売り切りではなく、OTA(Over the air)を基本としています。OTAとは、無線通信を経由して、データを送受信する仕組みで、スマホのアップデートをイメージして頂ければよいかと思います。
つまり車もスマホと同じように、バージョンアップを基本とし、常に最新のソフトをダウンロードし、進化し続ける。というのがテスラの車になります。
そのアップデートをする為に、ソフトウェアを課金する事により、サブスクリプションのビジネスモデルを形成しており、モノ売りではなく、体験を売る、コト売りにフォーカスしている事が分かります。
それでは今時点で分かっている、テスラの車の自動運転機能について説明をしていきたいと思います。
基本的にテスラの車の自動運転のレベルは2です。レベル2とは?という方は↓の記事をご参照頂ければ幸いです。
自動運転に必要な車載カメラモジュールの5つ役割【自動運転には必須】
■レベル2自動運転車の基本機能
- 衝突被害軽減ブレーキ
- 前車自動追従
- レーンキープアシスト
- 分岐、レーンチェンジ、追い越しアシスト
- 駐車支援
- ハイビーム自動制御
- 先行者発進告知
テスラと他自動車メーカ開発の取り組みで、大きく異なる点として、多くの車両メーカはこれらの自動運転の基本機能に注力し、性能を上げ、安心して使えるようにしLevel3の自動運転を目指しているのに対し、テスラは、これらの性能を上げていく事はもちろん実施していると思いますが、目立っているのは、性能よりも様々な状況に対応出来る技術の開発に注力している。という点で大きな違いがあります。それを特徴づけているのが、次に示す8つの機能です。
■テスラの自動運転機能
- ナビ連携自動運転機能
- ナビで示したルートに従い走行、合流や分岐を自動で実施する機能
- 自動車線変更機能
- ウインカーを操作するだけで、自動で車線変更を実施する機能
- 自動一時停止機能
- 一旦停止の白線を見て止まる機能
- 自動信号認識機能
- 信号を認識して、車を制御。赤であれば止める、青であれば進む
- 交差点自動右左折機能
- 周囲の車の動きや、信号、歩行者を認識しつつ、自動運転で交差点を右左折する機能
- リモート駐車機能
- スマホ操作で無人車両を移動。例えば人の乗り降りが難しいガレージ、駐車場において、人が降りてから車を車庫入れする機能
- 自宅連携機能
- ガレージに到着したタイミングで、家のドアも同時に開ける
- 呼び寄せ出庫機能
- 駐車場で、駐車してある車を、指定した場所に無人で呼び寄せる機能
どうでしたでしょうか?これを見ると、自動運転が本当に身近になっていて、もはやラジコンのように車が動かせる時代になっている事が分かります。
本記事では、イーロンマスクの生い立ち、テスラの事業戦略、テスラの自動運転機能について説明をしてきました。「人類の滅亡を防ぐ」というミッションを達成する為の手段として立ち上げられたテスラ。エネルギー、モビリティ、ネットワークの最先端技術で自動運転の業界においても目立った存在となっておりますが、本当の目指すところは、もっと先にある未来を見ているのだと思います。今後どのように進化していくのか、楽しみです。
テスラ関連の著書はいくつかありますので、ご興味があれば下記リンクからどうぞ。
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