100均のダイソーから販売されている770円のアロマディフューザー。中身がどうなっているのか分解してみました。驚愕です。これで770円とは!?超音波加湿器の仕組みに興味がある方、ダイソー製品に興味がある方、是非ご覧ください。
超音波加湿器の仕組み
今回分解したダイソーのアロマディフューザーはアロマを楽しめる超音波加湿器です。製品の説明は下記の記事で行っています。
参考:ダイソー770円のアロマディフューザー、どの位加湿効果があるか実験
超音波加湿器の基本的な仕組みは、圧電素子を高速に振動させ、その振動で水を霧状に飛ばす事で加湿する物です。イメージはこんな感じ↓
太鼓の上に水滴を垂らして、ドンドンたたくと、水しぶきが飛び散るのと同じイメージですが、振動のスピードをものすごく速くする為に、下の図のように圧電素子に高周波の電圧を加え、超音波を発生させます。
圧電素子の上に水を入れておくと、超音波の振動で水が霧状になり、保湿効果を得られる事になります。これが、超音波加湿器の仕組みです。
ダイソーのアロマディフューザーの仕組み
それでは本編のダイソー製770円のアロマディフューザーの仕組みを見ていきましょう。
分解
まずは分解。本体の外観は↓
裏面にビスが3か所あるので、外します。
外すと、放熱ファンが出てきます。またファンの隣にはUSBの電源入力のコネクタ。
ファンの接続先には、スイッチが乗った基板があります。↓
さらにその下の基板を外すと、圧電素子が出てきました。また、下図右の赤丸のバネみたいな物が、左の○で囲んだ凹部分に入っています。
上記バネの部分を上から見ると、下図のようになっており、どうもここで水位を計測しているみたいです。
圧電素子の周りにはゴムのパッキンで覆われており、水が漏れて来ないようにしてあります↓
この素子の上に直接水が乗る事になるので、ゴムの隙間等から水が漏れてくると、基板が水没してしまいます。少し危険な設計ですね。
中身を取り出すと、こんな感じになっていました。
仕組み
それでは仕組みを下の図の1~7の役割を元に簡単に解説していきたいと思います。
1.USBの電源供給用基板
ここはUSBコネクタから、電源をもらっていているだけの基板です
2.MISTボタン
これはミストを発生させるボタンです。このボタンを押すと、3の放熱用FANが動作し、同時に6のコントロールIC、7のFETが動作し、結果8の圧電素子が振動し、ミストが発生します。
3.放熱用FAN
これは2のボタンで動作しますが、製品の底から空気を吸い上げ、7のFETが乗った基板に空気を当てるように設計されています。これは、7のFETが激しくスイッチングして熱を持つ為、それを冷却する為の物と思われます。
4.Lightボタン
これは5のLEDを光らせる為のボタンです。LEDはR,G,Bの三色が1つのLEDのパッケージに入っており、この3色のバランスを変更させる事で、多彩な色を再現していると思われます。測定は出来ていませんが、多分PWM制御をしており、R,G,BそれぞれのDuty比率を、6のコントロールICで変更していると思われます。
5.多色LED
上記記載の通りで、R,G,Bの三色が1つのLEDのパッケージに入っているLEDと思われます。
6.コントロールIC
IC上部の型番が消えていて読めませんでしたが、このICの役割は次の3つと思われます。
1.水位の測定
2.水位が規定量以上かつ、MISTボタンを押された場合、圧電素子を振動させる周波数を発生。また、タイマーが入っており、2時間で上記の動作を停止
3.LEDの色を変更する為、R,G,B各色のPWM制御を実施
7.FET
これは、6のコントロールICで発生した周波数を使って、圧電素子を振動できる電圧をスイッチングする為のFETだと思われます。
8.圧電素子
7のFETより供給された、高電圧のスイッチングで振動し、水を振動させ、ミストを発生させます。
まとめ
ダイソーのアロマディフューザーを分解し、中身を確認しました。
ミスト発生の仕組みは一般的な超音波加湿器の物と変わりませんが、水位測定、LEDの制御、発熱を防ぐためのFANの搭載と、充実しています。
中身の基板やケーブルは思ったよりしっかりしていて、簡単に壊れそうな品物ではなさそうです。基板には「大川電子」と書かれていましたが、どのメーカなのか詳細は分かりませんでした。
やはり、驚くべきは値段です。このアロマディフューザーは税込みで770円なのですが、参考までに↓の超音波式加湿器向けの基板モジュールは、それだけで1000円以上です。
このアロマディフューザーは、加湿機能に加え、水位測定、FAN、LED制御がつき、基板も3枚でケーブルも2本、そしてケースを合わせて、売価770円。
どうやったらこの値段で販売できるのでしょうか?すごいです。
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