近年、多くの車に安全技術が搭載されています。車を購入する時、いろいろな安全機能が増えてきており、嬉しい反面、分かりにくいと思いませんか?
そんな疑問にお答えいたします。
特にトヨタ車に関しては、トヨタセーフティセンスと呼ばれる物と、スマートアシストを呼ばれる物があり、その中にまたいろいろな名称の機能があります。同じような機能なのに車によって呼び方が異なるといった現象が起きています。
本記事では、そんな疑問を持たれている方に、トヨタセーフティセンスとスマートアシストの違い、機能の名称、機能の役割を分かりやすく解説したいと思います。
ホンダのホンダセンシングに関しては下記で実車レビューしておりますので、ご参照頂ければ幸いです。
参考:【ホンダ N-WGN】ホンダセンシングの機能一覧と実車レビュー、欠点の紹介
- トヨタセーフティセンスとスマートアシストの違い
- 衝突の危険性がある場合、自動でブレーキ
- 車線の中央を走るようにハンドル操作をサポート
- 車間距離を一定に保って、ついていく
- 車線からのはみ出しをお知らせ&ハンドル操作をサポート
- 先行車や対向車を検知し、ハイビームとロービームを切り替え
- 標識を見落しても、ディスプレイに表示
- 前のクルマが発進したことに気付かないとき、お知らせしてくれる
- 左右後方の車両を検知し、ドライバーに注意喚起
- 誤って踏み間違えても、ブレーキでサポート
- シフト操作ミスによる急発進、急加速を抑制
- 自車後方の歩行者を検知し、ブレーキを自動で行う
- ステアリング・アクセル・ブレーキ操作を制御し、駐車操作をアシスト
- まとめ
トヨタセーフティセンスとスマートアシストの違い
まず、トヨタセーフティセンスとスマートアシストの違いを、開発者と技術の内容から説明します。
■開発者
トヨタセーフティセンス … トヨタ
スマートアシスト … ダイハツ
ご存知でしたでしょうか。スマートアシストはダイハツが開発した物で、親会社のトヨタはそれを使って、製品化しているという事です。ですので、小型車に使われているのはスマートアシスト、中型以上に使われているのは、トヨタセーフティセンスと大きくすみ分けがされています。
次に、トヨタセーフティセンスとスマートアシストの技術的な違いについて説明します。
■技術的相違点
トヨタセーフティセンス … 単眼カメラ+ミリ波レーダー
スマートアシスト … ステレオカメラ ※ソナーセンサが付いているモデルもある。
少し分かりにくいかもしれませんが、簡単に説明すると、安全機能を実現する為には、距離を測定する技術と、画像を認識する技術が必要があり、その双方が必要不可欠です。つまり、歩行者にぶつかりそうな時、歩行者と車との距離を正しく認識し、かつ、前方にいるのが歩行者であると正しく認識する技術が必要であり、トヨタ、ダイハツをそれを下記のように実現しています。
トヨタセーフティセンスの距離測定と物体認識の方法は、
距離測定:ミリ波レーダー
物体認識:単眼カメラ
スマートアシストは、
距離測定、物体認識共にステレオカメラ ※ソナーが使われている物もあります
このように技術的アプローチが異なる2つの技術がトヨタとダイハツで開発され、それぞれの会社で名前が付けられました。その結果、トヨタ車とダイハツ車は一部の車は設計資産を共有し、メーカ名のみを変えたような製品をラインナップとして持っているため、トヨタの安全機能の説明には、セーフティセンスとスマートアシストが双方とも出て来て、非常に分かりにくい状態になっているのが現状です。
しかしながら、それぞれ名前は異なりますが、出来る事は似ていますので、以降の章では、シチュエーション別に、トヨタセーフティセンスとスマートアシストそれぞれの名前と、何が出来るかを説明していきたいと思います。
スマートアシストに搭載されているステレオカメラの詳細は下記を参照お願いいたします。
参考:安全機能として車に搭載されている、ステレオカメラの役割と距離測定の原理
自動運転に関係する用語は下記の記事でもまとめておりますので、よろしかったらご覧いただければ幸いです。
参考:自動運転に関わる難しい英語の略語30個を、分かりやすく解説します
衝突の危険性がある場合、自動でブレーキ
トヨタセーフティセンス
プリクラッシュセーフティ
- 天候が悪いときでも、夜間の運転時でも、カメラだけでなくレーダーで検知し、自動でブレーキをかける
スマートアシスト
衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能
- 走行中に前方の車両と歩行者を認識し、衝突の可能性があると判断した場合にドライバーへ注意喚起します。さらに衝突の可能性が高まった場合には緊急ブレーキで減速し、衝突の回避や、衝突時の被害軽減に寄与。
車線の中央を走るようにハンドル操作をサポート
トヨタセーフティセンス
レーントレーシングアシスト
- 渋滞時など白(黄)線が見えにくい、または見えない場合も、先行車を追従してハンドル操作をサポートします。
- 車線をはみ出しそうなときは、ブザー&ディスプレイ表示でもお知らせ。白線だけでなく、アスファルトと縁石などの境界からはみ出しそうなときもステアリング制御。
- 自車のふらつきを検知した場合、休憩を促すディスプレイ表示。
- レーントレーシングアシスト制御中にドライバーの無操作状態が継続している場合、音と表示と緩減速による警告でドライバーに操作を促すほか、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車し、自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援。
スマートアシスト
レーンキープコントロール
- 約60km/h以上で走行中、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール/停止保持機能なし)作動時に、クルマが車線の中央付近を安定して走行するよう、ステアリング操作をアシストします。メーター内表示でもお知らせ。
車間距離を一定に保って、ついていく
トヨタセーフティセンス
レーダークルーズコントロール
- 低速時でも、先行車を検知して速度を調節し、先行車が停止した際は車間距離を保ったまま自動で停止。
- 先行車を検知して、適切な車間距離を保てる速度に自動で調整し、先行車がいなくなった際は、設定速度で走行を続けます。
- レーダークルーズコントロールで走行中、システムが必要と判断した場合、ステアリングの切り始めで速度抑制を開始し、同時にマルチインフォメーションディスプレイでシステム作動中であることをお知らせします。
スマートアシスト
アダプティブクルーズコントロールトロール
- 走行中に先行車の様子を検知しながら、設定した車速の範囲内で先行車との距離のキープを支援します。わずらわしいアクセルとブレーキの操作を支援してくれるので疲れにくく、長距離運転中の渋滞なども快適に運転できます。
車線からのはみ出しをお知らせ&ハンドル操作をサポート
トヨタセーフティセンス
レーンディパーチャーアラート
- 車線変更時かどうかを見極め、ウインカー操作を行わずに車線を逸脱する可能性がある時に、ブザーとディスプレイ表示で注意を喚起します。
- 白(黄)線を踏み越えないように、ブザーとディスプレイ表示でお知らせするとともに、ステアリング制御が作動し、ハンドル操作をサポートします。
スマートアシスト
車線逸脱抑制制御機能/車線逸脱警報機能
- 約60km/h以上で走行中にステレオカメラが車線を検知している場合、道路上の車線から逸脱しそうになると、ブザーとメーター内表示にて、ドライバーに危険をお知らせします。
- 車線を逸脱しそうなとき、ブザーとメーター内表示だけでなく、ステアリング制御でハンドル操作をサポートします。
先行車や対向車を検知し、ハイビームとロービームを切り替え
トヨタセーフティセンス
オートマチックハイビーム
- 先行車や対向車のライトを認識し、ハイビームとロービームを自動で切り替え、夜道の視界を確保します。
- 遠くまで照らせるハイビームでの走行頻度が高まることで、夜間走行時の視野が広がり、歩行者などの早期発見にもつながります。
スマートアシスト
オートハイビーム
- 対向車のヘッドランプなど前方の明るさを検知し、ハイビームとロービームを手をわずらわせることなく自動で切り替えます。先行車や対向車などがいない時にはハイビームへ切り替え、遠くまで見通しを確保し安心感を高めます。
標識を見落しても、ディスプレイに表示
トヨタセーフティセンス
ロードサインアシスト
- 標識をカメラで認識し、マルチインフォメーションディスプレイに表示します。速度規制値を超えた場合などには、表示の点滅などでお知らせする機能もあります。
スマートアシスト
標識認識機能(進入禁止)
- 進入禁止の標識をステレオカメラが検知すると表示でお知らせします。高速道路のサービスエリア出口や、一方通行の多い都市部などで役立ちます。
前のクルマが発進したことに気付かないとき、お知らせしてくれる
トヨタセーフティセンス
先行車発進アラーム
- ブレーキペダルを踏んで停車時、先行車が約4m以上進んでも発進しなかった場合、ブザーとディスプレイ表示でお知らせします。
スマートアシスト
先行車発進お知らせ機能
- 信号待ちなどで前のクルマが発進したことに気づかないとき、ブザー音とメーター内表示でお知らせします。
左右後方の車両を検知し、ドライバーに注意喚起
トヨタセーフティセンス
パーキングサポートブレーキ(後方近接車両)/リヤクロストラフィックアラート
- 後退する際に、自車の左右後方から接近してくる車両をレーダーで検知し、ドアミラー内のインジケーター点滅とブザーによりドライバーに注意を喚起します。さらにパーキングサポートブレーキ(後方近接車両)は衝突の危険性がある場合、自動的にブレーキ制御を行うことで接近車両との衝突被害軽減をサポートします。
スマートアシスト
機能なし
誤って踏み間違えても、ブレーキでサポート
トヨタセーフティセンス
パーキングサポートブレーキ(前後方静止物/周囲静止物)
- 前後4つずつ、計8つのセンサーで障害物を検知し、アクセルとブレーキの踏み間違いの際に、自動(被害軽減)ブレーキをかけます。
- カメラではなく、ソナー(超音波)により障害物を検知するので、コンビニの壁面などのガラスもしっかりとらえます。
- 静止物の検知対象を前後進行方向のみならず、側方を加えた車両周囲にまで拡大。アドバンストパークのアシスト中だけでなく、出庫や後退中のような駐車シーンにおいても周囲を監視しながら静止物の接近を表示とブザーで知らせ、さらに距離が縮まると自動(被害軽減)ブレーキをかけます。
スマートアシスト
誤発進抑制制御機能
- 前方約4m以内に障害物等があることをステレオカメラまたは約2〜約3m以内に障害物等があることをソナーセンサーが検知している時に、必要以上にアクセルペダルを踏み込んだ場合、急発進を抑制します。
- 後方約2~約3m先までに壁などの障害物等があることをソナーセンサーが検知している時に、必要以上にアクセルペダルを踏み込んだ場合、急発進を抑制します。
シフト操作ミスによる急発進、急加速を抑制
トヨタセーフティセンス
ドライブスタートコントロール
- 後退時に衝突して慌てたドライバーが、アクセルを踏み込んだままシフトを「R」ポジションから「D」ポジションへ変更した際、表示で注意を促し、エンジン出力/ハイブリッドシステム出力を抑えます。
スマートアシスト
機能なし
自車後方の歩行者を検知し、ブレーキを自動で行う
トヨタセーフティセンス
ドライブスタートコントロール
- 駐車場から後退する際に、自車後方の歩行者をカメラで検知し、ブザーによりドライバーに注意喚起します。衝突の可能性がある場合は、自動的にブレーキ制御を行うことで、接近車両や歩行者との衝突被害軽減を支援します。
スマートアシスト
機能なし
ステアリング・アクセル・ブレーキ操作を制御し、駐車操作をアシスト
トヨタセーフティセンス
アドバンスト パーク
- 駐車したいスペースの横に停車後、アドバンスト パークスイッチを押して駐車位置を確認。その後、開始スイッチを押すと、周囲を監視しながら、ステアリング・アクセル・ブレーキ操作をアシストして駐車を完了させます(シフト操作は手動)。
- 区画線で区切られた駐車場での縦列駐車・出庫、並列駐車だけでなく、事前に駐車位置を登録することで、区画線のない駐車場や隣接車両がない環境下での駐車操作もアシスト可能です。
スマートアシスト
機能なし
まとめ
このように機能を列挙すると、ものすごく沢山の安全機能があります。またこれらの機能はどんどんと増えていき、将来的には、Level5の自動運転車になっていくのではないでしょうか。
自動運転のレベルに関しては下記の記事も参照お願いいたします。
->自動運転に必要な車載カメラモジュールの5つ役割【自動運転には必須】
ドライブレコーダのお勧め記事もありますので、よろしかったらご覧ください。
参考:エンジニア視点で考察。ドライブレコーダーのおすすめ2021年版
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