夏のお供として活躍している携帯扇風機ですが、爆発のリスクがあると、報道がされています。実際に使われている材料から、危険性とどうすれば危険なく使えるのか、解説したいと思います。最後に私も愛用しているダイソー製携帯扇風機の分解し、危険があるのかどうなのか確認したいと思います。
携帯扇風機の危険性
携帯扇風機は危険性があるか?
はい。あります。
理由は
「携帯扇風機に、高容量なリチウムイオンを用いた電池が使われているため」です。
ただ、携帯扇風機に限らず、リチウムイオンを用いた電池が使われている製品はすべて同じですので、携帯扇風機だから、特別危険か、というとそういう訳ではありません。
リチウムイオン電池は、スマホのバッテリや、携帯製品にはほとんど使われている電池です。
ただ、巷に激安で売られている携帯扇風機は、見た目では分かりませんが、内部のつくりが雑な物であったり、粗悪品の電池が使われてる可能性がありますので、値段が異常に安い扇風機は少し警戒する必要があります。
携帯扇風機のバッテリ容量
それでは一般的な携帯扇風機の容量を見ていきましょう。
携帯扇風機(ハンドタイプ)は1000~3000mAh
携帯扇風機(首掛けタイプ)は2000~4000mAh
ピンとこないかもしれませんが、iPhone13,14のバッテリ容量が3000~4000mAhですので、スマホと同等の容量を持っている事が分かると思います。
しかも下の表で、スマホではビデオ再生等約20時間もできるバッテリ容量が、扇風機だと数時間でなくなってしまう(下のリンク参照)という事からも、短時間で大容量の電力を使っている事が分かりますので、危険性も何となくわかるのではないでしょうか?
参考:ダイソー700円のハンディファン/ミニファン(ミニ扇風機)3種徹底比較。
参考:3COINS(スリーコインズ) 2200円の「ネックファン」レビュー。値段以上の価値あり
ビデオ再生 | オーディオ再生 | ストリーミング再生 | バッテリ容量 | |
iPhone 14 | 20 時間 | 80 時間 | 16 時間 | 3279 mAh |
iPhone 14 Plus | 26 時間 | 100 時間 | 20 時間 | 4325 mAh |
iPhone 14 Pro | 23 時間 | 75 時間 | 20 時間 | 3200 mAh |
iPhone 14 Pro Max | 29 時間 | 95 時間 | 25 時間 | 4323 mAh |
iPhone 13 | 19 時間 | 75 時間 | 15 時間 | 3227 mAh |
iPhone 13 mini | 17 時間 | 55 時間 | 13 時間 | 2406 mAh |
iPhone 13 Pro | 22 時間 | 75 時間 | 20 時間 | 3095 mAh |
発火の原因
それでは、発火の原因です。それは、内部短絡と外部短絡。の2つがあります。
短絡とは、ショートの事ですね。
それぞれ解説していきます。
外部短絡とは
外部短絡とは、名前の通り、電池のプラスとマイナスが電池外部で金属等でつながり、ショートする事です。
乾電池のプラスとマイナスを接続すると、電流が急激に流れ、火をつける事が出来る実験をしたことがあるかもしれませんが、それと同じ原理で、リチウムイオンも電池ですので、プラスとマイナスを接続する事で、大電流が流れます。
マンガン電池やアルカリ電池などは、電池容量は小さく、出力も小さいですが、もしも、出力の大きいリチウムイオンを用いた電池で外部短絡を行った場合は、100Aを超える電流がすぐに流れて、電池の温度自体も数秒~数十秒で100℃を軽く超えるため、非常に危険です。
ただ、通常は、万が一に備え、安全機能を備えている場合が多く、大電流が流れた場合は電流を検知して、回路を遮断するといった機能が入っているのが一般的です。
内部短絡とは
内部短絡とは、電池の内部で、短絡(ショート)が発生することを言います。
先程は電池の外部でショートが起きた時の説明をしましたが、それと同じ事が電池の内部でおこる事があります。
電池の内部は、通常は正極と負極が短絡(ショート)しないように、正極と負極の間に、絶縁物で作られたセパレータで分断されています。しかし、セパレータで分断ができずに、正極と負極とが低抵抗で接続されてしまうと、内部短絡が発生します。
原因としては、この2点です。
1.電池内部への金属異物の混入。粗悪品などとたまにあります
2.電池を落とした。等の外的衝撃で内部が変形し、正極と負極間の絶縁物が破壊され、ショートする。
特に私たち使う側が注意する必要があるのは、「2」ですね。
落下させてしまったり、外部の衝撃が電池に加わってしまった扇風機は使うのを止めましょう!
充電中の発火
今までは正極と負極の内部、外部のショートによる発火について説明しましたが、ではなぜ、充電中の事故が多いのでしょうか?理由は温度が上がるからです。
充電し、温度が上がると、
1.正極の熱安定性が悪くなる。つまり単純に電池が燃えやすい状態になる。
2.負極が膨張する。つまり膨張する事でその圧力で電池の中身が破壊され、内部短絡する。
といった現象が起こります。充電しながら車に放置したりするのはもってのほかですね。
ダイソーの扇風機は安全か?
手持ちのダイソーの扇風機を分解し、安全性を確認してみようと思います。
ダイソー扇風機の中身は↓
さらに中身を取り出してみました。電池には青いカバーがされていて、それを剥がすのは怖かったので、一旦分解はここまでとします。
上に記載した、外部ショートの要因になりそうな部分ですが、電池側は青いカバーに囲われていて、ショートしそうにない感じですし、コネクタ側も端子間ショートをしそうも無かったので、問題なさそうです。
電池は、中国製ではありましたが、「PSE」マークもついていましたので、安全かと思います。
PSEマークとは、その電気製品が電気用品安全法で定められた安全規格を満たしていると証明するマークのこと。
分解するまで不安でしたが、ダイソーの携帯扇風機は、使い方に気を付ければ大丈夫そうですね。
まとめ
携帯扇風機は爆発の危険性はあるか? という疑問に対してですが、危険性は、あります。
危険を回避する為、私たちが注意すべき点は次の点
1.落下させたり、外部衝撃が加わったものを使い続けない事
2.車の中など高温環境で充電しない事
3.メーカー名の分からない激安品は注意する事
以上の点を気を付ければ、大丈夫かなと思います。
そして、ダイソー製で、今回私が分解したモデルは、作りもしっかりしており、バッテリにはPSEマークもついており、大丈夫そうです。
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