モノづくりエンジニアの為のカメラモジュールの構造

今回から具体的な製品を題材として、エンジニア向けに製品の構造がどうなっているのかを記事にしていきたいと思います。初めはカメラモジュールからです。カメラモジュールとは、携帯電話や車、他国では町中に監視カメラが搭載されており、その中に入っているカメラのモジュールで、非常に注目されているセンシングデバイスです。カメラに関するエンジニアリングをされる方も多いと思いますが、カメラモジュールってどういった構造になっているの?何ができるの?何に使われるの?といった疑問をお持ちの方もいると思います。

そんな疑問にお答えいたします。

カメラモジュールの回は長くなると思いますので、複数回に分け、まずは、カメラモジュールとは一旦何か、またどんな製品によく使われているか、その簡単な構造について本記事では記載していきたいと思います。その後、本構造の具体的な説明を次の記事にて記載をしていきたいと思います。ゴールはエンジニアとして最低限知っておいた方がよい、カメラモジュールの構造、光が入ってから映像が保存されるまでの仕組みを、誰でも分かるように丁寧に説明をしていきたいと思います。

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カメラモジュールとは?

「カメラモジュール」とは、何でしょうか。「カメラ」であればわかる方が多いと思いますが「モジュール」が付くとエンジニアの用語に変わります。モジュールとは

「部品」の事です。

「単体として機能をもつけど、他のものと組み合わせて製品になる」ものです。

実際のカメラモジュールはこんな外観になります。なにこれ?と思われるかもしれませんがこれがカメラモジュール=カメラの部品であり、いろいろな場所に搭載され、カメラとして機能します。下の絵の黒い部分は「レンズ」その下に撮像素子である「イメージセンサ―」が入っています。構造に関しては下のトピックで簡単に説明させて頂きたいと思いますが、

このレンズで光を取り入れて、撮像素子に光を集める。そこで作られた映像を他のデバイスに送信する。

という役割を持っています。つまりこのモジュールの状態では、カメラとして機能はできず、このモジュールに電源や、いろいろな信号を与え、他のものと組み合わせる事により、カメラとして機能するようになります。

カメラモジュール
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カメラモジュールが使われている場面

それでは、カメラモジュールとは一体どんな場面で使われているのか説明していきたいと思います。

  • 携帯電話
  • タブレット
  • ノートパソコン
  • Webカメラ
  • 監視カメラ
  • ロボットの目
  • 自動車のバックモニター
  • 自動車周辺監視モニター
  • 自動運転向け衝突検知モニター
  • ドライバーレコーダー

などなど

もっともメジャーな物は皆様も持っている携帯電話ですね。タブレットやノートパソコンも良くご存じだと思います。写真を撮ったりテレビ会議で活用されたりするので、これらは問題ないかと思います。

それ以外では、ロボット、自動車で良く使われています。これらは目で見て分かりませんが、ロボットで有名なところではペッパー君や、トヨタやホンダが作っている人型ロボットには視覚として目の部分にカメラモジュールが入っていると思います。

また、自動車は近年自動運転技術が進んでいる為、かなり多くの場所で使われていますね。一番わかりやすいのは「バックモニター」バックする時に後ろの風景がナビの画面に映ると思います。また、自動運転車には、前方の障害物検知をする為、フロント部分にカメラが付いています。自動駐車技術の為、車の周囲を見る目的のカメラが全方向ついていて、車の全周の障害物を見れるようになっています。また皆さんご存知のドライブレコーダーです。

このように「カメラモジュール」とはかなり皆様の周りのいろんな環境で使われるようになっており、また使われ方も、今までのように「写真をとる」から自動運転の「センシング」といったように用途が変わりつつあります。

少し余談ですが、10年ほど前から、日本の技術力が落ち始めており、家電においては、中国、韓国のメーカのシェアが日本のシェアを超えているのが現状です。例えば昔はTVはソニー、シャープ、東芝、等等日本メーカがシェアを取っていましたが、今現在はサムスンやLGといった韓国メーカ、また中国の名の知れないメーカも激安のTVを出してきており、値段で勝てず、また技術が人の目で分からないくらい進化している為、(4Kとハイビジョンが見た目で分からないという事)消費者も日本製と中国製の差は値段の差しか分からないくらいになってきております。

結果安い中国製、韓国製を買う。デジカメもそうですね。今はほとんどスマホで代用されていますが、デジカメもスマホもほとんど日本製は目にしなくなりました。スマホはiphoneがシェア1位であり、続いてサムスン、その他中国製(Huawei、OPPO,シャオミ等)日本ではソニーが少し頑張っているかなくらいです。

そんな中このカメラモジュールは製造は中国で実施される場合が多いですが、コア技術であるイメージセンサ―は日本製が世界シェアNo1と取っています。ソニーのイメージセンサ―です。実はiphoneにも使われていて、デジカメ、スマホ本体は日本製がなくなりつつある中、このカメラモジュールのコア技術はまだ日本製なのです。

これってすごくないですか?私はカメラの技術者でもあるですが、それを誇りに思っています。これだけは絶対に海外に負けないようにこれからも精進していきたいと思っています。

日本に強みがある事を裏付けるかのように、日本には、各中国のカメラ関連のR&Dセンターが多く建っています。具体的にはHuawei,OPPO,Omnivision,SKhynix,VIBO等が挙げられます。多くの企業は日本のカメラ技術を求め海外から日本に開発拠点を移動させています。それだけ日本のカメラ技術は世界の中でもずば抜けて優れている。という事です。

そんな技術の一角をこのブログ全体を通して少しずつご紹介していきたいと思いますので、ご興味がある方は是非読んで頂ければと思います。

カメラモジュールの構造概略説明

それではカメラモジュール構造の本当の概略を説明させて頂きたいと思います。それぞれの部品に関しては専用ページで詳しくお伝えいたしますので、まずはカメラモジュールがどういった構造になっているのかをお知らせいたします。

カメラモジュール構造

これがカメラモジュールの簡単な構造です。左型が完成形。この記事のカメラモジュールとは?の部分で載せた写真を絵で描いた物になります。右側はすべての部品が見えるようにしたものです。とてもシンプルですよね。それぞれ簡単に説明をさせていただきたいと思います。

  1. レンズ
  2. IRカットフィルタ
    • 次は馴染みがあまりないかもしれませんが、IRカットフィルタです。IRカットフィルタの役割は名前の通り、IRの光を遮断するものです。IRの光とは何かというと、infrared raysの略で、英単語の通り、「赤外線」です。「1」のレンズ太陽の光を取り込むのですが、その中には赤外線も含まれており、それをそのままイメージセンサに取り入れてしまうと、赤外線特有の赤色が画像に出てしまいます。また、人の目には見えない光である為、普通のカメラでは人の目と同じ画像を作らないといけませんので、それをカットする為に入っています。カメラの中には、夜間を移す赤外線カメラもありますので、そういったカメラに関してはIRカットフィルタは入っておりません。
  3. イメージセンサ
  4. 基板
  5. フレキ
    • 上記の通りです。
  6. ISP
    • ISPとは「 Image Signal Processor」の略で、電気信号にかえられたカメラの映像をいろいろと加工する為のプロセッサです。例えば、カメラの映像からノイズを除去して綺麗な画像にしたり、色を綺麗にしたり表現する為のプロセッサになります。デジカメや携帯電話ではでとても綺麗な写真が取れていることはご存じかと思いますが、その為にこのプロセッサが大きく活躍している為となります。本プロセッサは画像を綺麗見せる為にとても重要な技術になりますので、ISP詳細に関しては次の記事を参照お願いいたします。
    • カメラの性能を決める、ISP(イメージシグナルプロセッサ)の機能と信号処理
  7. コネクタ
    • 最後はコネクタです。これは名前の取り、モノとモノをコネクションする(嵌合する)為の物で、4,5で説明した、基板やフレキを嵌合する為の物です。このコネクタは例えば携帯電話の中にはものすごくたくさん使われており、様々な基板、フレキをこのコネクタで嵌合させる事で、1つの製品にしています。

✓まとめ

他にもカメラ関連の記事を書いておりますので、よろしければご参照頂けると嬉しいです。

参考: カメラ関連の記事一覧

参考:最強のセキュリティをもつ生体認証・静脈認証の仕組みとカメラの仕様

参考:【次世代】RGB-IRイメージセンサ―とAIを活用した、車室内カメラ

参考:エンジニア視点で考察。ドライブレコーダーのおすすめ2021年版

エンジニアを目指されている方、下記も参考にどうぞ。

参考:収入アップの為の、おすすめプログラミングスクール3社を紹介します

Youtubeでも解説しています↓

カメラに関して概要を説明してきましたが、より詳しく学びたい。という方は下記のような書籍もありますので、ご参考にしてください。

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