ISO12100、危険源を取り除くリスクアセスメント5つの手順を解説

ISO12100、現場で必要なリスクアセスメント5つの手順を解説

人は間違える。機械は故障する。その中でどうやって工場現場の安全を確保していくのか。その答えがISO12100に書かれています。ただし、読んだ方は分かると思いますが、非常に理解が難しいです。本記事では、ISO12100に基づく危険源を考慮したリスクアセスメントの実施と、そこから洗い出されたリスクに対する低減方法を分かりやすく解説します。

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機械安全

リスクアセスメントに入る前に、機械安全について説明します。機械安全とは、

機械自体を安全にすること。人的な手法では十分でなかった安全確保を、技術によって機械自体を安全にする事で、より確実性を高める事ができる。という考え方。

安全規格とは、機械安全の必要事項を定めた規格となります。2003年にISO12100が発行されました。

安全方策の基本的な考え方は次の通りです。

  • 人と機械の分離
    • 機械災害は人と機械が重なり合った領域で発生する。
    • 機械災害の防止の基本は災害発生メカニズムが成立

つまり、下記が対策の基本となります。

1.人間と機械の運転出力を空間的に分離(隔離の原則:ガードによる安全防護)

2.時間的に分離(停止の原則:インタロック装置による安全防護)

  • 技術による安全立証
    • 人は間違え、機械は故障する、よって、機械の故障や作業ミスがあっても、安全を確保できる基本設計がされている必要がある。
  • エネルギー断で安全確保
    • インタロック等を用いた制御において、機械に供給されるエネルギーを遮断する事でリスク低減を図るのが原則
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リスクアセスメント

リスクアセスメント

ISO12100に基づき、機械の危険な場所を特定し、事故が起きないように、安全方策を考える事をリスクアセスメントと言います。

機械の安全を判断する、5つのリスクアセスメントの手順を記載したいと思います。

手順1 機械類の制限の決定

機械類の制限の決定とは、リスクの査定を行うに当たり、次の項目を考慮することです。

  • 機械のライフサイクル(製造、改造、運搬や解体、廃棄等)の各段階に対するそれぞれの要求事項を考慮
  • 機械の意図する使い方と、予見可能な誤使用を含めて、機械の限界を決定する
  • オペレータの性別、年齢別、利き腕や、身体の能力(視覚、聴覚等)などから、機械の使用状況の範囲を決定する
  • 予想される使用者の訓練、経験、能力の度合いを考慮する
  • 人が機械の危険にさらされる可能性を検討する
  • 予見可能な機械の危険が発生した場合、人間が機械の危険にさらされる可能性を検討する

手順2 危険源の同定

危険源の同定とは、機械に付随する全ての危険な状態及び危険事象を確認する事です。具体的には下記。

  • 機械的危険:切断、巻き込み、押しつぶし等の危険等
  • 電気的危険:充電部の接触、静電気現象等
  • 熱的危険:高温部接触、高低温作業環境からくる危険障害
  • 騒音による危険:聴力低下、耳鳴りなど
  • 振動による危険:手、腕、腰、全身の障害につながる
  • 放射による危険:低周波、高周波、紫外線、赤外線、X線等
  • 材料による危険:有害物質、刺激、粉塵、爆発など
  • 人間工学の無視による危険:不健康な姿勢、ヒューマンエラー
  • 機械の使用環境と関連した危険
  • 組み合わせによる危険

危険を明確化する手法には以下の手法がありますので、紹介しておきたいと思います。

  • チェックリスト
  • FMEA(故障モード影響分析)
  • FTA(障害ツリー分析)
  • など

手順3 リスクの見積もり

リスクの見積もりとは、機械の危険な状態、及び危険事象を確認後、下記の点から危険の推定を行うことです。それぞれの危険源に対し、可能な限り定量的にリスクを見積もる必要があります。

  • 起こりうる危害のひどさ
  • 起こりうる危害の確率

手順4 リスクの評価

リスクの評価とは、手順3でリスクの見積もりを行った後、そのリスクを評価し、リスク低減が必要か否かを決定する事です。

リスク低減が必要な場合、手順5で示す設計変更、安全防護装置などの安全対策を実施。

手順5 リスクの低減

リスクの低減とは、リスクに対し、下記のような安全方策を適用する事です。

  • 出来る限り危険への暴露を除去、または削減する
  • 確率と重要度を下げる
  • 防護装置及び安全装置を使用する
  • 安全装置の性能と機能特性が機械とその使用に適切である事を判断する。

リスク低減方策詳細は別の記事で記載したいと思います。この手順1~5のプロセスを繰り返し、リスクに応じた適切なリスク低減方法を実施していきます。

リスクを低減する3ステップメソッドの記事もありますので、よろしければご参照お願いいたします。

参考:ISO12100、リスクを低減する3ステップメソッドを解説します

産業用ロボットに関する記事を過去記載しておりますが、産業ロボットもこのリスクアセスメントの対象となります。ロボットに関する記事は下記を参照頂ければ幸いです。

->産業ロボット向けロボットコントローラの構造【最重要の4つの機能】

->もうそこまで未来が来ている!産業用ロボットの市場規模と未来予測

->協働ロボットの市場と各メーカの特徴比較。これからの主役は協働ロボット

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