CCD,CMOSイメージセンサとは?種類と原理を分かりやすく解説します。

CCD,CMOSイメージセンサとは?種類と原理を分かりやすく解説します。

普段何気に使っているスマホカメラやデジカメには、CCDやCMOSと言われるイメージセンサが入っています。近年はほとんどがCCDではなく、CMOSイメージセンサになっておりますが、双方ともカメラの画質を決める為に非常な役割を担っております。

本記事では、イメージセンサとは?を解説する為に、その種類、機能、原理を説明した上で、特徴的な現象である、フォーカルプレーン現象、フリッカー現象、スミア現象 について、解説していきたいと思います。

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イメージセンサの種類と機能

イメージセンサとは、カメラのレンズを外した時に見える、下図の赤矢印の先に見える撮像素子です。レンズのすぐ下に配置されており、レンズで集光した光をイメージセンサで取り込み、光電変換し、デジタルデータとして扱う事を特徴としております。

イメージセンサ

このイメージセンサの機能は大きく次の4点です。

  1. 光電変換:レンズから取り込んだ光を電荷に変換する機能。下の右図のように、イメージセンサの多くは[6]のOCL(On Chip Lens)、[7]のR,B,Gのカラーフィルタ、[8]のフォトダイオードといった構成で生成されており、レンズを通し光が入ってくると、[8]のフォトダイオード部分で光電変換がおき、マイナスの電荷が生成される。
  2. 電荷の蓄積:上記1の電荷をためる機能。レンズからの光は遮光しない限りずっと入っているため、その光はどんどんと蓄えられ、結果電荷が時間と共に増えていきます。この入射する光の量を時間軸でコントロールする為に、メカニカルシャッタがデジカメにはついています。
  3. 電荷の転送:蓄積された電荷を検出まで転送する(CCDのみ)機能。
  4. 電荷の検出:電荷を電気信号に変換する機能。電荷を電気にしたのち、ISPを用いて様々な加工を施し、カメラの映像として保存されます。
イメージセンサ原理

これらの機能をもつイメージセンサですが、種類が2種あります。

  • CCD:Charge Coupled Device(電子結像素子)
  • CIS:CMOS Image Sensor

一般的には、CCDとCMOSというように言われていますが、正確にはCCDとCISです。それでは次の章でこの、CCDとCMOSイメージセンサの違いを記載していきたいと思います。

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CCDとCMOSイメージセンサの比較

CCDとCMOSイメージャの素子構成の比較

CCDとCMOSイメージセンサの構成比較を、下の図を用いて説明していきたいと思います。

CCDCMOS
電荷検出部下左図に示す通り、電荷検出部はチップに1つ。そこに到達するまでは電荷のまま伝送される。
下右図に示す通り、電荷検出部は各画素についており、すぐに電荷から電気に変換される。
電荷の転送方法下左図に示す通り、各画素に蓄積された電荷は青矢印で垂直の電荷転送路を通り、緑矢印のように伝送され、赤矢印の水平転送路を経由して、伝送される。下右図に示す通り、各画素にはスイッチ(トランジスタ)がついており、水平垂直のトランジスタON/OFFにより伝送される。
画像の出力方法下左図に示す青矢印の流れで、同時に画素から垂直転送路へ移動し、水平画素一列同時に水平転送路へ転送され、電荷検出部で、電荷から電気に変化され、出力される。結果画素は順番に出力される。下右図に示す通り、各画素の電荷はすぐに電荷検出部で電気に変換され、水平垂直のトランジスタを経由して出力される。トランジスタのON/OFFを変更する事で、画素信号の出力順序を自由に変更可能。
CCDとCMOSの違い

CCDとCMOSイメージャの特徴比較

先程は素子の特徴を比較しましたが、今度はチップとしての特徴を比較したいと思います。

CCDCMOS
小型化画素の構成が単純な為、小型化メリットあり上図のように各画素に検出部があり、小型化しにくい。
1チップ化製造プロセスが独特である為、ISP等のCMOSプロセルのチップとの1チップ化は困難CMOSプロセスで製造されているため、ISP等の他の機能と統合し1チップ化する事が可能。
露光全画素で同一画素の構成上、各行毎に露光時間に差異がある。その為、フォーカルプレーンフリッカーといった現象が発生する。
読み出し順画素は順番に必ず出力される画素の読み出し順序は自由に設定可能
電力複数の電源が必要の為、消費電力は大きい。スイッチング動作だけの為、少ない電源で、低電圧で動作可能。単一電源のデバイスもある。
スミア原理的に発生原理的に発生しない。

それでは、次に上の表で課題となりうる、フォーカルプレーン、フリッカー、スミアに関し説明していきたいと思います。

  • フォーカルプレーン現象

フォーカルプレーンとは、右下の電車の写真のように、画像が歪む現象の事を言います。

これが発生する原因は、ローリングシャッタという方式を採用している場合、原理的に発生してしまいます。そして、CMOSイメージャの場合はローリングシャッタを使用している場合が多い為、CMOS=フォーカルプレーンと思われがちですが、CMOSイメージャであっても、シャッタ方式がローリングシャッタではなく、グローバルシャッタの物もありますので、CMOS=フォーカルプレーン現象ではなく、ローリングシャッタ=フォーカルプレーン現象という事になります。

発生原理は簡単です。

■CCD(グローバルシャッタ)の場合

左下のイメージのように、CCDの場合はグローバルシャッタの方式をとっており、CCD内の全画素が同時に露光される。という特徴があります。時間的に同時に露光が始まり、そして終わる為、1画面の中で時間のずれが無い為に画面の歪みは発生しません。露光が終わったらすべてのデータを掃き出し、掃き出し終わったら、次の露光をまた前画素同時に実施します。露光→掃き出し→露光→掃き出しと順に実施されている方式がグローバルシャッタです。CCDは原理的にこの方式をとっておりますが、CMOSの中でもこの方式をとるイメージャもありますので、注意が必要です。

■CMOS(ローリングシャッタ)の場合

右下のイメージのように、ラインごとに露光のタイミングが異なり、先頭の行と最後の行の間には時間的な差があるのが、ローリングシャッタの特徴です。最後の行の露光が終わったら、また先頭の行といったように、1行目→2行目→…→最終行→1行目、と、露光のタイミングが間髪入れずぐるぐる回っている事から、ローリングシャッタと言われています。掃き出しのタイミングの各行ごとに露光が終わったタイミングで掃き出しが始まります。その結果先頭行の露光時間と最終行の露光時間の開始のタイミングが右下の図のように時間的なずれがある為、下の電車の写真のように、早く動く被写体を写した時など、画像が歪んで写る事があります。

フォーカルプレーン現象
  • フリッカー現象

フリッカー現象とは右下の蛍光灯の写真のように、同一画面の中で、横の縞模様が上から下に流れるように現れる現象の事を言います。これもCMOSの特徴的なローリングシャッタが原因で発生する症状の一つです。

原理は、下図のように、例えば一部の蛍光灯のような光源は日本の交流の周波数、東日本で 50 Hz, 西日本で 60Hzの影響を受け、この周期で点灯、消灯を繰り返すような動作をしている事が原因です。

■CCD(グローバルシャッタ)の場合

イメージャの全画素が同時に露光スタートする為、下左図の赤枠の時間で光をイメージャが取り込む。交流により蛍光灯がついたり消えたりしていたとしても、前画素同時に光を取り込んでいる関係で、画素間やライン間での明るさの違いは発生しない。ただし、フレームのタイミングと速さによっては、フレーム事に明るさに違いが出る可能性がある。

■CMOS(ローリングシャッタ)の場合

下右図の赤枠のように、ローリングシャッタの場合は1ライン目から露光をスタートし、順番に2ライン目、3ライン目、最終ラインと順番に光を取り込む為、各ラインの露光時間内で蛍光灯が光っている光の蓄積量が異なる。その関係で、ライン毎に明るさが変わり、結果横筋がでるような見た目になってしまう。また、蛍光灯の点灯周期とカメラの露光時間の周期が同期していない事が多い為、この横筋の位置がフレームごとに異なり、結果として、横筋が動いているような見え方をする。

フリッカー現象
  • スミア現象

スミア現象とは、下の写真のように、画面内に強い光が当たると、赤丸で囲われた箇所のように、縦に筋が入ってしまう現象です。これはCCD特有の問題で次の原理により発生します。

スミア現象

原理はこのようになっています。上の方で説明したように、CCDには垂直伝送路、水平転送路があり、電荷を運ぶ水路のような役割をもった道があります。通常は各画素で蓄積された電荷が伝送される道として働くのですが、強い光源が画素に当たると、画素から電荷があふれたり、光が直接伝送路の中に入ったりします。その結果、あふれた電荷が、洪水のようにこの水路にあふれ出る事で、縦のライン一列に筋が入ったような現象となります。それをスミア現象と言います。

スミア現象原理

まとめ

CCDとCMOSイメージセンサの特徴を解説してきました。前述の通り、近年の多くはCMOSイメージセンサがデジカメにもスマホにも使われています。その中で、上記原理的に発生するようなフォーカルプレーンを回避する為に、高速シャッタモードが付いたり、フリッカ現象の回避の為、意図的にシャッタースピードを伸ばすというような対策が施されてきています。CMOSイメージャは車載機器、産業機器へも使われており、今後ますます活躍の場面が増えて来ると予想します。

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