日本時間の2022年9月8日。iPhone14シリーズが発表されました。iPhone13からの変化点はいろいろとありますが、本記事では、大きな変化点の1つ、カメラについて技術的に何が変わったのかを、仕様に記載があるハード面を中心に、良い所悪い所、忖度なく、分かりやすく解説していきたいと思います。
iPhone13と14のカメラ仕様
それではiPhone14と14Proのカメラ仕様をiPhone13、13Proと比較してみたいと思います。14と14Plus、ProとPro Maxはカメラ仕様は同じなので、まとめて記載しています。
表の中の青字部分が、14になって進化した部分。赤の部分が退化した部分となります。この表を元に、iPhone14のカメラ仕様を考察していきたいと思います。
iPhone14(Plus) | iPhone14 Pro (Max) | iPhone13 | iPhone13 Pro | ||
カメラ個数 | 2 | 3 | 2 | 3 | |
メインカメラ | 画素数 | 12MP | 48MP クアッドピクセルセンサ | 12MP | 12MP |
ピクセル サイズ | 1.9um | 2.44um (クアッド) | 1.7um | 1.9um | |
焦点距離 | 26mm (画角約80°) | 24mm (画角約84°) | 26mm (画角約80°) | 26mm (画角約80°) | |
Fナンバー | 1.5 | 1.78 | 1.6 | 1.5 | |
レンズ枚数 | 7枚 | 7枚 | 7枚 | 7枚 | |
手振れ補正 | センサ―シフト式 | 第2世代 センサ―シフト式 | センサ―シフト式 | センサ―シフト式 | |
超広角カメラ | 画素数 | 12MP | 12MP | 12MP | 12MP |
焦点距離 | 13mm (画角約120°) | 13mm (画角約120°) | 13mm (画角約120°) | 13mm (画角約120°) | |
Fナンバー | 2.4 | 2.2 | 2.4 | 1.8 | |
レンズ枚数 | 5枚 | 6枚 | 5枚 | 6枚 | |
望遠カメラ (3倍) | 画素数 | ー | 12MP | ー | 12MP |
焦点距離 | ー | 77mm (画角約31°) | ー | 77mm (画角度約31°) | |
Fナンバー | ー | 2.8 | ー | 2.8 | |
手振れ補正 | ー | 光学式 | ー | 光学式 | |
望遠カメラ (2倍) メインカメラの 中央部12MPを クロップ | 画素数 | ー | 12MP | ー | ー |
焦点距離 | ー | 48mm (画角約45°) | ー | ー | |
Fナンバー | ー | 1.78 | ー | ー | |
手振れ補正 | ー | 第2世代 センサ―シフト式 | ー | ー | |
ズーム | 光学 | 2倍ズームアウト | 2倍ズームアウト 3倍ズームイン 6倍ズームレンジ | 2倍ズームアウト | 2倍ズームアウト 3倍ズームイン 6倍ズームレンジ |
デジタル | 5倍 | 15倍 | 5倍 | 15倍 |
iPhone13と14のカメラ仕様比較まとめ
1.iPhone14(Plus)のカメラは、ハードの仕様としては、iPone13のカメラに対し感度が多少改善。
違いはメインカメラのFナンバーとピクセルサイズ。
iPhone14メインカメラ Fナンバー:1.5
iPhone13メインカメラ Fナンバー:1.6
この数値から計算される明るさの違いは、
iPhone14(1/(1.5)^2) / iPhone13(1/(1.6)^2) ≒1.137 倍
ピクセルサイズはそのまま明るさと直結する訳ではありませんが、
iPhone14メインカメラ ピクセルサイズ:1.9um
iPhone13メインカメラ ピクセルサイズ:1.7um
iPhone14(1.9^2) / iPhone13(1.7^2) ≒1.24 倍
レンズとピクセルサイズ合わせて約40%の明るさが向上しています。この40%が画像にどのくらい影響を及ぼすか?というところを実際の写真で確認してみたいと思いますが、劇的な変化ではない事は分かります。
iPhoneのレンズ仕様の見方は下記の記事も参照お願いいたします。
参考:iPhone13Proの技術仕様をわかりやすく解説。レンズ仕様編
2.iPhone14 Pro (Max)のメインカメラは48MP、イメージセンサにクアッドピクセルセンサを採用
最も大きな進化がこの部分です。このイメージセンサは「クアッドピクセルセンサ」と言われ、RGBの画素が通常の並びのように交互に並んでいるのではなく、4つの画素を1つの画素として扱う事が出来るイメージセンサ―です。
画素数は48MPですので、上の図のように、R,R,G,G,R,R,,,,,,B,B,G,Gと全部で48万個の画素が並んでいるのですが、特徴は、名称にある通り、各色の画素が4つまとまっては位置されている所です。その為、撮影には、48MPすべての画素を使う事も出来ますし、下の図のように、4画素を1つにまとめて、トータル12MPのカメラとして活用する事が可能です。
このような使い方をする事で、画素数は減ってしまいますが、4つの画素から集めた光を1つの画素として使える為、理論上は4倍の感度を得る事が出来ます。つまり、夜間の撮影時、このような使い方をすれば、暗い場所でも綺麗に撮影する事が出来るという事ですね。
ちなみに普通のイメージセンサのRGBの並びは下記の記事に書かれているような並びになっています。
参考:モノづくりエンジニアの為の、CMOSイメージセンサの基本原理
ただし、残念な事に、メインカメラのレンズのFナンバーがiPhone13Proより上がってしまっています。この明るさを計算すると、次の通りです。
iPhone14Proメインカメラ Fナンバー:1.78
iPhone13Proメインカメラ Fナンバー:1.5
この数値から計算される明るさの違いは、
iPhone14(1/(1.78)^2) / iPhone13(1/(1.5)^2) ≒0.71 倍 という事で
約30%レンズの光量が落ちています。
ピクセルサイズは
iPhone14Proメインカメラ ピクセルサイズ:2.44um
iPhone13Proメインカメラ ピクセルサイズ:1.9um
ピクセルサイズの大きさと感度が比例する訳ではありませんが、単純計算で、
iPhone14(2.44um)^2 / iPhone14Pro(1.9um)^2 = 1.64倍 という事で
約60%のイメージャの感度が上がっています。
つまり、レンズの光量減と、イメージセンサの光量アップで差し引き「+16%」というのが見立てです。
ただ、このイベントでは、iPhone13Proに比べ、2倍暗所での撮影が改善されるとあるので、カメラのハードの仕様ではなく、新しいPhotonic Engineの恩恵が大きいのかなと思います。
3.iPhone14 Pro (Max)は望遠2倍をメインカメラをつかって実現(iPhone13には無い)
これもiPhone13には無い機能です。iPhone14Pro(Max)のカメラの物理的な数は3つですが、メインカメラの画面中心の12MPを使って、望遠2倍の画像をつくるという事をしています。
下図、左から、超広角カメラ、メインカメラ、メインカメラ(画像中心部のみクロップ)、望遠カメラをそれぞれ使って、それらを切り替えるように、倍率を変えています。
ズームに関する仕組みは下記の記事を参照お願いいたします。
参考:iPhone13Proの技術仕様をわかりやすく解説。光学ズーム、デジタルズーム編
2倍ズームの際、下記のようなイメージで、48MPで撮影した後、真ん中の12MPのみを切り出して使う事で、あたかも12MPの2倍のズームカメラをもう1つ搭載しているかのような機能を実現しています。これも48MPのイメージセンサの上手い使い方かなと思います。
まとめ
・iPhone14(Plus)のカメラはiPhone13に対し約40%程度感度アップしているが、ハード仕様を見る限りカメラの改善は大きく期待できない。
・iPhone14Pro(Max)はイメージセンサが48MPへ進化、クアッドピクセルセンサを使う事で、4画素を共有した使い方の場合は、感度はアップ。ただ、レンズ明るさ(Fナンバー)はiPhone13Proより劣っている為、クアッドピクセルセンサの恩恵は受けにくい仕様になっている。新しいPhotonic Engineによる画像処理に期待。
・iPhone14Pro(Max)はメインカメラを活用した、望遠2倍の仕様が新規で追加。メインカメラの画面中央部分を切り出す(クロップ)する事で実現。
カメラのハード仕様を見る限り、カメラの為にiPhone14へ買い替えるのは、個人的にはモチベーションが上がりませんが、上に記載したように、Photonic Engineがどのくらい活躍するのかは見どころかと思います。
動画でも解説していますので、よろしかったらご覧ください。
下記でiPhone13の仕様もまとめていますので、よろしければ、ご参照お願いいたします。
参考:iPhone15 Pro MaxとiPhon14 Pro Max の仕様を比較してみた
参考:iPhoneの技術仕様を分かりやすく解説。その1:レンズ仕様編
参考:iPhone13Proの技術仕様を分かりやすく解説。レンズアクチュエータ編
参考:iPhone13Proの技術仕様をわかりやすく解説。光学ズーム、デジタルズーム編
Galaxyとの比較は下記
参考:iPhone14 ProMaxとGalaxy S22 Ultra スペック比較
記事が気に入って頂けたら、クリックして頂けると嬉しいです。
コメント