iPhone13Proの技術仕様を分かりやすく解説。レンズアクチュエータ編

iPhoneの技術仕様を分かりやすく解説。その2:レンズアクチュエータ編

iPhoneがリリースされると、ホームページにその技術仕様が公開されます。しかしながらその仕様を深く理解する事は難しいのではないでしょうか?その結果、バージョンが上がった時に何が変わったのか分からないという事も少なくないと思います。本記事では、iPhoneだけでなく、その他のスマートフォンにも共通して使える、スマホの仕様が読めるようになる為の解説を、技術的に、かつ出来るだけ分かりやすくしていきたいと思います。今回はカメラのアクチュエータ編という事で、オートフォーカス、手振れ補正に関して解説したいと思います。

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iPhone13Pro仕様一覧

まず今回の記事のターゲットとなる、カメラ部の仕様は次の通りとなります。(今回は代表してiPhone13Proの仕様を例としていますが。他のスマホもご要望があれば解説していきたいと思います。)その中で、本記事では赤枠で囲った部分、手振れ補正と、何故か仕様に記載されておりませんが、オートフォーカスの仕組みについて解説したいと思います。

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アクチュエータの構造

iPhone13の手振れ補正とオートフォーカスを実現する為のアクチュエータとして、コイルが活用されています。(オートフォーカスに関しては分解された物を見た事が無いので予想)その構造を図で表すと下の図のようになっています。

基本的に稼働部分は磁石(4)+コイル(3)の構造で、磁石とコイルが向かい合っている構造となっており、その、磁石が付いている部分とコイルが付いている部分がバネ素材の物(5)で接続されている。という構造です。

そしてコイルの電流を流す事で、コイルと磁石が水平方向に駆動する事で、それぞれの機能を実現します。

数々のYoutube動画で、iPhone13の分解動画を見ましたが、電源が入っていない状態では、その可動部分が自由に動く状態になっています。

オートフォーカス、手振れ補正の実現方法

次に上記アクチュエータを使って、どのようにオートフォーカスや手振れ補正を実現しているのか解説したいと思います。

オートフォーカスの実現方法

オートフォーカスとは、皆様御存知の機能かと思いますが、撮像したい被写体にピントを合わせる時に活用する機能です。iPhoneの場合、その被写体をタップすると、その部分にピントが合うようになっていると思います。それは技術的に何をしているかを解説します。

下の図のレンズ部(1)のユニットにコイル(3)が巻いてあり、その対面に磁石(4)が付いた構造になっています。そして、レンズが付いたユニットがスプリング(5)で固定されているのですが、コイルに電流を流す事によって、赤矢印1のようにレンズユニットを上下に動かす事が可能です。

このレンズユニットを動かす事で、レンズ(1)とイメージセンサ(2)の距離が変わり、焦点距離が変わりますので、結像する位置が変わります

このようにレンズを上下に動かし、目的の被写体にピントがあう場所でレンズ位置を固定させる事で、ピントを合わせる。というのが基本的な原理です。

デュアル光学式手振れ補正

それでは、次はデュアル光学式手振れ補正に関して解説したいと思います。この「デュアル」という意味ですが、光学式手ぶれ補正を採用したカメラが2基搭載されているから『デュアル光学式手ぶれ補正』と表記しているだけですので、デュアルという言葉は無視しても良いかと思います。

光学式手振れ補正とは、光学部品を手振した方向と逆の方向に動かす事で、手振れを抑制する為の仕組みで、上の図では矢印の「2」「3」に該当します。これでブレを抑制します。

光学式手振れ補正といった場合に、この「2」,「3」のどちらかという定義は無い為、「2」だけの場合もあれば「3」の場合だけの場合もあり、「2」「3」どちらも採用されている場合もあります。

iPhone13Proの望遠は少なくとも、双方とも採用されているようです。

これも動作の仕組みはオートフォーカスと同じで、コイルに電流を流す事で、レンズユニットそのものを様々な方向に動かす事が出来、(多分)iPhone本体に搭載されたセンサにより振動を検知し、それをキャンセルする方向にレンズを動かす事で、手振れの発生を抑える。という物です。

センサーシフト光学式手振れ補正

最後はセンサーシフト光学式手振れ補正に関して説明します。これも原理は今までの物と全く同じで、今回は、イメージセンサ側の基板を、手振れした方向とは逆の方向に動かす事で、手振れをキャンセルするもので、「4」の動きとなります。

「3」との差ですが、構造的にレンズ側が動くか、センサ側が動くかの違いです。

iPhone13と13Proの比較

最後にこれらの機能が、13と13Proのどのカメラに搭載されているのか見ていきましょう。一覧は下の表のようになります。これを見ると、13の方はセンサーシフト式のみですので、水平方向のブレをか吸収できないのに対し、Proの広角、望遠は水平方向だけでなく、チルト方向のブレも吸収できる仕様である事が分かります。

iPhone13iPhone13Pro
超広角広角超広角広角望遠
AF
デュアル光学式手振れ補正
センサ―シフト光学式手振れ補正

下記で他iPhoneの仕様も解説しています。

参考:どこがすごい?iPhone14のカメラ。技術仕様を簡単に解説します。

参考:iPhoneの技術仕様を分かりやすく解説。その1:レンズ仕様編

参考:iPhone13Proの技術仕様をわかりやすく解説。光学ズーム、デジタルズーム編

参考:iPhone13Proの技術仕様をわかりやすく解説。LiDARスキャナ編

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